ユーザーの満足度やアクセス数/売り上げを左右するUXの設計は、プロに外注したほうが良いものができあがります。しかしながら、外注というとコストが気になるのではないでしょうか。また、デザインの外注費用は外注先によって大きく変わる一方、必ずしも費用が高いほうが品質が良いというわけでもありません。この記事では外注にかかるコストの相場やその内訳、そしてかけたコストに対する費用対効果の計算方法を解説します。
UXデザインの外注コストは外注先や開発規模によって大きく変わります。
制作会社に依頼した場合は基本料金がl5万円から20万円というところが多く、さらにそこから開発の内容によって料金が追加されていくシステムです。
最近はクラウドソーシングを利用して個人にUXデザインを依頼することもでき、この場合は 10万円程度から依頼することができます。ただし、品質については玉石混交でしょう。場合によっては制作会社よりも費用を抑えられるかもしれませんが、適正な外注先を見極める目が必要です。
これらをすべて含めた形でのUXデザイナーに依頼する際の費用の平均は、ある調査では64万円とされています。ただ、UXデザインといってもその内容はさまざまです。以下ではUXデザインに含まれる業務のなかから、より詳細な依頼内容について費用相場の内訳を解説します。
UI/UXリサーチとは、ユーザー視点でどのようなUI/UXが求められているのかニーズを調査する作業です。 この作業を担当するUI/UXリサーチャーに業務を依頼する場合、以下のような費用が発生します。
UI/UXリサーチのコストは規模に大きく依存するのが特徴です。より規模を大きくすればより正確な結果が得られる可能性がありますが、その分費用は高くなるでしょう。
アプリやWebサイトの顔ともいえるロゴやアイコンのデザインを外注する場合、コストの相場は6万円から15万円といったところです。
この費用は一般的に、平均年収÷12カ月÷165時間×2で算出されます(165時間は標準労働時間、×2は標準人件費率)。
また、ロゴやアイコンのデザインでは提案数や修正数が増えると上がり、さらに実績がある有名なデザイナーに依頼した場合は付加価値量が加算されてコストの合計が高くなるでしょう。
グラフィックを含めた画面のデザインも基本的にはロゴやアイコンのデザインと同じように費用が決まります。
注意したいのは、デザインの著作権や所有権についてです。完成したデザインの著作権や所有権はデザイン会社のものとなるため、他社に利用されたくない場合は権利買取のための費用が必要になります。
また、利用にロイヤリティが必要なキャラクターをデザインに利用した場合はその費用も必要になるでしょう。
主にゲームなどで必要されるキャラクターデザイン。一般的な相場としては1体3万円から10万円といったところが相場です。
ほかのデザインと異なるのは、ディレクション費が重要という点です。ディレクションとはキャラクターの目的やターゲット、使用媒体やイメージを明確にするための作業であり、特に複数のキャラクターを作成する場合は統一感を出すために重要。このための費用が1万円から5万円ほどかかります。
また、利用目的によっては異なるポーズをいくつも作成しなくてはならないことがあり、そのための追加費用(6千円から2万円ほど)も必要になるでしょう。
デザインのなかに商品やサービス、人物の写真を含めたい場合、その撮影をプロに依頼することでより魅力的なものとすることができます。
カメラによる撮影の費用は半日から1日の撮影で5万円からといったところが相場です。
また、ドローンを利用した空撮の場合は基本料金が4万円から10万円、それに機材やクルーの人件費などが追加されます。撮影場所の選定を依頼した場合は、そのための費用も要求されるでしょう。
アプリやWebサイトに表示される文章もデザインの一部であり、読みやすくわかりやすい文章はアクセス数や売り上げの向上につながる可能性があります。
文章をライターに依頼する場合、一般的なテーマの場合の費用相場は1文字あたり0.5円から2円です。専門性が高いテーマの場合は1円から5円、インタビュー記事の場合はさらに高くなります。
また、文章の作成だけでなくWebサイトなどへの入稿まで依頼する場合には追加料金が発生するでしょう。
実際にデザインをWebサイトとして作り込む作業であるコーディングは、トップページの作成が1万円から4万円ほど、下層ページが1ページあたり5千円から2万円ほどといったところが相場です。
ただし、Javascriptを利用するなどして凝ったデザインを作り込む場合はさらに追加料金として5千円から2万円ほどが発生します。また、PC、タブレット、スマートフォンなど異なる画面サイズに対応するためのレスポンシブ対応をおこなう場合、これらの費用が1.5倍から2倍になるでしょう。
UXのデザインを外注する場合、かけた費用以上の効果が得られるのが理想です。UXの費用対効果(ROI)は一般的に以下の3つの観点で計算できるといわれています。
UXデザインにはコストがかかります。開発にコストがかかるのはもちろん、その後の修正作業などの維持費も考慮に入れなければいけません。このための費用は以下の計算式で算出できます。
(変更数)×(1つの変更あたりの平均時間)×(開発/維持に必要な人員の時給)×(必要な人員数)
また、遅延が発生した場合はその分の機会損失などを考慮に入れ、このコストを4倍にして計算します。
エラーとは、不具合修正のために必要なコストを指します。自社で作業した場合に発生するエラーを見積もることで、外注によりそのコストが削減できるといえるでしょう。エラーの費用は以下の計算式で算出できます。
(エラーの数)×(修正時間の平均)×(エラー修正のために必要な人員の時給)×(必要な人員数)
業務を外注する理由の1つに、自社でおこなうよりも効率的だからというものが挙げられます。この点を考慮したのが生産性です。生産性は以下の計算式で算出できます。
(節約した時間)×(自社の人員の時給)×(必要な人員数)
この記事で紹介したように、UXデザインを外注する場合にはその内容に応じた相場が存在します。相場を把握しておくことで適正なコストでUXデザインを依頼することが可能です。
ただ、単純なコストの高低だけにこだわって外注先を選ぶのはおすすめできません。重要なのは外注したことによってどれだけの効果が得られたかであり、たとえ高いコストがかかったとしてもそれに見合う効果が得られればその費用は有効であったといえるでしょう。
この記事で紹介した費用相場や3つの費用対効果計算の数式を参考に、かけた費用を最大限活用できる外注先を探してみてください。