デジタル化が進められる昨今、さまざまな企業でデータの利活用が進められています。ここでは勘や経験に基づく感覚的な経営ではなくデータに基づき意思決定を行う「データドリブン経営」にシフトするために必要な手順などを紹介します。
データドリブン経営に取り組むためには、まず「どのようなデータを活用して経営上の判断に役立てていくのか」という全体像を把握するようにしましょう。現状をしっかりと把握したうえで、データをどう活用しどの意思決定を改善したいのかという目的の明確化・設定を行いましょう。
あれもこれもデータの利活用をしよう、と考えると効率的に物事を進めることはできません。そのためデータドリブン経営によって何を達成したいのかというテーマと、どこから着手していくのかという優先順位の設定を行いましょう。
データ収集を行うと多くの情報を入手することができますが、どれを見るのかが決まっていなければ情報の海に溺れてしまいます。従って、指標となるKPIを明確に設定し、必要な情報をしっかりと確認できるようにしましょう。
同じくデータ収集を行っていると、どんどんと情報が蓄積され溢れかえってしまうでしょう。そうなると必要なデータを必要な時に見ることができなくなってしまうため、欠かさずに整理を行うようにしましょう。
データドリブン経営は実行も重要ですが、その後の進捗管理も欠かせません。Plan→Do→Check→ActionというPDCAサイクルをしっかりと回すことで、データの利活用効果の最大化を図ることができるでしょう。
データ収集を行おうと思っても、そもそもデータ収集するための技術や収集したデータの整理・共有ができる技術基盤が無ければはじまりません。そのため導入・構築にかかる最低限の技術基盤が整っていることがデータドリブン経営を実現するための第一歩になります。
膨大なデータを収集するにあたっては、データの知見がない社員であってもデータの有効活用ができるようマネジメントする必要があります。情報はあればよいだけではなく必要な場所に必要な量提供される必要がありますので、収集・整理された情報が必要とされる場所にしっかりといきわたるようにマネジメントできるような環境整備を行いましょう。
データマネジメントの中でも特に注意しなければいけないのがデータのサイロ化です。部署や部門などの組織が細分化され、データもそこに紐づいて孤立してしまう、という課題を抱えている企業も多いのではないでしょうか。データ統合によりこのサイロ化を解消する対策も欠かすことができません。
担当者が理解をしている、というレベルでは組織的なデータドリブン経営ができているとはいえません。可能な限り属人性をなくし、データ活用を社内文化として根付かせることも重要な課題です。まずは経営陣がしっかりと理解をし、社内全体に浸透するよう各人の意識を変えていかなければいけません。
データドリブン経営を円滑に進めるためには、やはりデータ活用に関する知識や経験・ノウハウを持つ専門的な人材が必要になります。具体的にはデータエンジニアやデータアナリストといった高度人材が挙げられ、こういった人材を育成・獲得するための施策も考えながら取り組まなければいけません。
目的を達成するためには、そのゴールから逆算しプロセスを把握するのが近道です。データドリブン経営も同様で、データを活用する場面を想定しながらそこにたどり着くためにはどういったプロセスが必要なのかを考えることにより。最短ルートでのデータドリブン経営の実現が目指せるかもしれません。
プロセスが見えてきたらその流れの整理を行いましょう。情報はどこから流入しどう流れていくのかを押さえておくことにより、いつどのタイミングで情報が手元に届き、いつどのような環境で経営的意思決定を行うのかというルーティンのイメージを作ることができるようになるでしょう。
データの整理を行うにあたっては、マスターデータの作成や共通IDの導入、履歴を残すなどしてデータ品質の担保を行うようにしましょう。せっかくデータを収集してもそれがどのようなデータかが明らかにされていなければ有効活用することができません。そのためデータ管理におけるルール作りは欠かさず行うようにしましょう。
データの保管場所となるデータウェアハウスも整備を行いましょう。各部署において独自の指標設定をしてしまうと横断的なデータ活用ができなくなってしまいます。そうした事態を防ぐためにも共通指針・指標を定めておくようにしましょう。いきなり共通指針・指標を作ると想定ターゲットに使われないという失敗ケースもありますので、データ基盤の構築はデータが流れる最終地点から逆算して検討することがおすすめです。
データドリブン経営を目指すにあたっては、技術基盤の構築やデータクレンジングなどの手間がかかってしまい、自社のみで進めようとすると一苦労です。自社に合ったデータドリブン経営を目指すのであればカスタマイズされたアプリケーションがおすすめですが、リソースの兼ね合いでなかなか取り掛かれない、と悩まれている企業も多いのではないでしょうか。そういった場合には外部コンサルなどに協力を仰ぎ、手間を限りなく減らして実現する方法もありますので、ぜひ自社にあった手法・プロセスを検討してみて下さい。