技術の発展に伴い「DX」というキーワードへの注目が年々高まっています。ここではDXの先にある「データドリブン」に注目し、言葉の意味や組織の改革・構築方法について解説していきます。
データドリブンという言葉は「取得したデータを経営戦略や日々のオペレーションに活用し、データに基づく意思決定を行うこと」という意味を持ちます。このような意思決定がうまくできている組織を「データドリブンな組織」と表現します。
古きよき中小企業では経営者の勘や経験のみに頼った意思決定を行うことが多いですが、近年ではデータドリブン経営に取り組む企業が増えており、より効率的に意思決定を行っています。勘や経験に基づく感覚的な経営では、こういった競争環境で勝ち抜いていくことが難しくなります。
組織文化を大きく左右するのはその企業のトップであることは間違いありません。トップ自らが意思決定や業務の改善においてデータに依拠しているのかどうかで、組織に対するメッセージ性が大きく変わってきます。とはいえこれは必ずしも最高経営責任者、CEOである必要はありません。企業内にデータドリブンの感覚を広めるのは最高データ責任者でも構いませんし、社外の専門家でも問題ありません。もちろんCEO自らが旗振り役となるのもポジティブに働く要素の一つになりますが、実行上のパートナーとして最高データ責任者や外部専門家に頼るのもよいでしょう。いずれにしても組織のトップ層がデータドリブンな意識を持ち引っ張ることで、組織の改革や醸成の実現に近づいていけるでしょう。
データドリブンな経営を目指すためには組織的な成長・発展も欠かせません。異なる組織の階層ごとに職務に見合ったトレーニングを提供することで、データに基づく意思決定のメリットを引き出すことができるようになります。特にデジタル分野に苦手意識を持つ人たちは自信がないことからうまくデータ活用ができずに終わってしまう可能性も高いです。そのためにリテラシーや戦略、分析に関する教育というプロセスも重要なポイントになってきます。教育を踏まえて成長したリーダーはそのアプローチの有効性について、組織全体に広めていくような役割も期待できるでしょう。
データドリブンな組織づくりを進めるためには、スタッフ・従業員に対してインセンティブを与えることも有効です。データやアナリティクスをうまく活用したデータドリブンな人がより早い昇進と高い報酬を受け取ることが出来る場合、他の従業員の注意を引くことにもなります。これは人事部など他部署の承認を受ける必要がプロセスではありますが、データドリブン経営を実現するためには必要な要素になるでしょう。データドリブンな組織づくりを進めるためにはただシステムを取り入れればいいだけでなく、組織内でその文化や風土を加速させるための仕組みづくりも欠かすことはできないのです。
せっかくデータを集めてもそれをうまく活用できなければデータドリブンな組織にはなれません。データ収集を目的とするのではなく、その先の意思決定までを見据えてデータを取り扱える組織を目指しましょう。
社内にデータ分析を行える人材がいたとしても他の業務に時間を取られデータ分析に時間が割けない、となると宝の持ち腐れです。体制面も含め、適材適所でデータ分析に取り組める環境・組織づくりを行うようにしましょう。
データ活用の先には改善行動があり、そのアクションを策定することも重要です。PDCAは策定したアクションを実行し確認・再実行を繰り返すわけですが、そもそもそのアクション策定ができなければデータドリブン経営を実現することはできません。
既にある組織をデータドリブンな組織に変えていくためには、マインドセットの転換などあらゆる困難が伴うこととなります。円滑に組織変革を進めるうえにおいてはさまざまな取り組みが必要になりますが、DXコンサルなどの外部専門家に相談し効率的に進めていくのも有用な手段・方法になるでしょう。