データに基づき経営的意思決定を行う「データドリブン経営」はビジネスにおける意思決定の正確性とスピードを上げるためには必要不可欠です。ここではそのデータドリブン経営を実現するために活躍するツールやその注意点などを紹介します。
企業経営や事業運営を行うにあたってデータドリブン経営を取り入れようとすると、多種多様なデータが発生することになります。このさまざまなデータを統合し分析するためのツールがBI(ビジネスインテリジェンス)であり、Excelなどのような表計算ソフトを使わなくても情報分析を行うことが可能です。経営陣の意思決定場面で活用されることがあり、散在するデータを吸い上げて分析することにより正確かつスピーディーな意思決定に繋げることが可能です。
BtoCビジネスでは多くの顧客と接することになりますが、そのタッチポイントを全て把握しようと思うと膨大な作業が必要になります。日々無数のコミュニケーションが発生する昨今においてこれらの情報を把握・管理するためのツールがCDP(カスタマーデータプラットフォーム)であり、リアルタイムのデータ収集によりマーケティングなどに活用されています。他のシステムからアクセスが可能で一元的な、永続性ある顧客データベースを構築するパッケージソフトウェアと言われており、多岐にわたるチャネルのデータを収集・整理することができます。
CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)は顧客に焦点をあてたツールであり、個人名を特定できる顧客の情報や購買履歴、クレームなどの情報を管理することができるソフトウェアです。カスタマーリレーションシップは顧客との関係を意味する言葉であり、CRMは近年さまざまな業種・業界で活用されるケースが増えています。顧客セグメントや商品セグメント別の購入状況、ポイント使用率など顧客分析に必要な機能が備わっています。
外部企業が提供する「パブリックデータ」と呼ばれるビッグデータをはじめ、社内のさまざまな情報を収集・分析してマーケティング施策に繋げていくためのプラットフォームであるDMP(データマネジメントプラットフォーム)は、WEBを活用した集客や新規顧客の開拓などあらゆる場面で使われています。近年では後述するMA(マーケティングオートメーション)と領域が重なってきていますが、分析したデータをWEB広告ツールなどと連携させることで次のアクションに繋げていけるという強みもあります。
マーケティングの作業やワークフローを自動化・合理化・測定してくれるソフトウェアであるMA(マーケティングオートメーション)は、主に集客した後の見込み客化・顧客化において用いられます。マーケティングにおけるさまざまな分析機能やマーケティングアクションを自動化する機能を持っており、マーケティング活動を効率化するためのソリューションとして近年注目が高まっています。
ERP(エンタープライズリソースプランニング)は企業における財務・サプライチェーン・運用・レポート・製造・人事管理などさまざまな活動を統合・管理するソフトウェアであり、あらゆる業務に関するデータを集約することが可能です。その活用方法もさまざまであり、業務効率化や業績向上などあらゆる効果を期待することができるでしょう。
Web解析ツールは自社サイトにアクセスするユーザーの行動や検索エンジンにおける結果を可視化し分析に繋げるためのツールです。PV(ページビュー)やUU(ユニークユーザー数)の他、セッション数やインプレッション数などのWebに関連する各指標を見ることが可能です。有名どころではGoogleアナリティクスやAdobeアナリティクスなどがあり、Webマーケティングにおいては欠かせないツールとして認知されています。
営業部門においては情報を水平展開できると、より効率的な営業活動を行えるようになるでしょう。SFA(セールスフォースオートメーション)は営業チーム全体におけるプロセス・進捗状況・ナレッジを管理することができるツールであり、営業支援システムともいわれています。他にも顧客管理や案件管理、日報などといった営業マンが使う機能が備わっており、マネジメント層に向けてはレポーティング機能などの分析機能も利用することができます。SFA(セールスフォースオートメーション)を活用できると担当者別のコール数や有効面会件数、成約率などの営業分析に必要なデータを集めることができます。
データドリブン経営を目指すうえで注意しなければいけないのがデータのサイロ化です。社内で統合されないデータが各部署・部門で連携を取れない場合、データから深く知見を集めるプロセスの障害となってしまいます。
PDCAサイクルを回しながらデータの利活用を進めるにあたっては、管理指標であるKPIを定めることが多いでしょう。このKPIが不透明であったり共通でない場合、議論がまとまらず効率的なデータドリブン経営を実現できなくなってしまいます。
データを収集するからにはしっかりと分析を行い課題抽出に繋げ、PDCAサイクルを回していく必要があります。この分析が不十分だった場合、うまく改善行動に繋げられなくなり効率的なデータドリブン経営が実現できなくなるので注意が必要です。
データドリブン経営に限らず、システムやツールを導入する際には既存システムやスタッフとの親和性がハードルになることもあります。よりスムーズな導入を実現するためには、DXコンサルなどの専門家に相談してみることもおすすめです。