PoCは「Proof Concept」の略であり、「コンセプト実証」「概念実証」というような意味になります。開発場面においてはアイデアに実効性があるか、実現が可能かを検証するために必要な考え方となっています。一般的にPoC開発は、プロトタイプを作成し実際の導入環境に近い状況での検証を行います。
PoC開発以外でも言えることではありますが、ユーザーのメリットを追求することは最重要といっても過言ではありません。ユーザーが望んでいないものを作っても利益には繋がらないためです。この観点にも注意しながら開発を進めましょう。
新たな技術やプロダクトを導入することで、どのような効果が出るのかを明確にしていると、顧客に受け入れられやすくなる可能性があります。導入メリットを伝える際には、感覚的なものよりも具体的な数値による定量的な効果を示すとよいでしょう。
PoCの目的は実証実験ではなく、サービスやプロダクトをビジネスに結び付けるための手段です。PoCをやるだけやって実際の導入に移行しない「PoC疲れ」にならないよう、課題と解決策を常に検討する必要があります。
PoCの持つ最大のメリットは、「実際に完成できるかどうかが分かる」という点です。プロトタイプの検証を行うことで、実現率をあらかじめ高い精度で可視化することができるため、投資効果を最大限に引き出すことが可能になります。
PoC開発では実現性をあらかじめ検証しますので、工数や人員リソースなどの配分を適正化することができます。無駄な工数や人員削減ができることはコストカットに繋がるとともに、効率的な開発には重要な要素のひとつです。
開発したプロダクトの試作品をユーザーにテストしてもらうというのもPoCのポイントです。実際に使用した人の意見が聞けるため、期待とのギャップを確認できます。これにより予測や指標も立てやすくなり、費用対効果の検証もしやすくなります。
PoC開発にもデメリットはあります。まず一つ目は、「プロトタイプを作成して検証する」という性質上、情報漏えいに対するリスクは一定程度存在します。万が一ではありますが、検証中であるプロトタイプのデータなどが競合他社に漏れてしまった場合、相応の被害が発生してしまうリスクがあることは言うまでもありません。
PoC開発はプロトタイプを作成し、検証を繰り返してプロダクトを完成させていきます。そのため検証の実施規模や回数によっては、当初想定しているよりもコスト増に繋がってしまう可能性も否定はできません。実際にPoC開発を行う場合は、これらのデメリットも視野に入れながら、いかにリスクを低くするかを検討しましょう。
PoC開発においては、①目的を明確にする②実装・検証を行う③導入すべきかを判断する、という流れで進められます。入口段階においてどのような効果を得たいのかなど、細かく設定をすることで検証結果に繋がり、PoCの成否にまで繋がってくるでしょう。そのうえで実装した後の検証フェーズでも必要な情報の収集に尽力し、検証結果を踏まえて導入すべきかどうかの判断を行うようにしましょう。
通常のプロトタイプを作成する開発では、一定の要件を満たし具現化したプロトタイプを用いるのに対し、PoC開発ではサービスやプロダクトの前提が固まる前に検証を行います。PoCでは実効性の検証を優先して行う点が、通常の開発手法との違いといえるでしょう。
ペーパープロトタイプは手書きで作成するワイヤーフレームのことをいい、近年ではITツールの普及に伴い用いる事例が少なくなっています。手書きのメリットとしてはとにかくスピードが速いことで、必要なものが紙とペンだけ、というのもポイントの一つです。
技術検証プロトタイプはその名の通りですが、「技術的に実現が可能かどうか」を検証するためのプロトタイプです。プロダクトやサービスの開発に際して、実現したい要素や機能を実現するための技術に不安要素がある場合などに採用されます。
UIアニメではユーザーからの操作によってアニメーションが発生し、そのインタラクティブ性の検証を行う際に作成するプロトタイプです。一方で静的MODELプロトタイプは、バックエンド通信をゼロにしたうえでフロントエンドで何ができるかの検証を実施するためのプロトタイプです。
UIとはユーザーインタフェースの略であり、その製品やサービスを利用するうえでの「見た目」のことを指します。UIデザインプロトタイプにおいてはターゲットユーザーから見た際にデザインが受け入れられるかなど、主に見た目に関するプロトタイプを示しています。