顧客体験向上にアプリを活用する場合、既存コンテンツの有用性が問われます。今回はタイプの異なる2つの事例をもとに、顧客体験向上にアプリがどう貢献したか見ていきましょう。
既存のアプリでは顧客体験を充実させられないことが課題でした。
顧客体験向上のために観光施設の案内用に作られたアプリは、コンテンツ不足や情報の整理不足、また混雑情報などのリアルタイムな情報連携がなく、役割を果たせていませんでした。
実際に施設を訪れた人への調査を基に、アプリがあったほうが施設を楽しめる工夫を盛り込みました。
例えば、チケットのオンライン購入や混雑状況に応じた予約整理券の発行など、施設を回る「時間」に関するシステムの追加。また、GPSを活用したゲームなどの「体験」を追加。
アプリによって来場客がスムーズに楽しめるだけでなく、さらにできることが増えるツールになりました。
プロジェクトが進む中、COVID-19の世界的なパンデミックが到来し、計画の見直しが入りました。
チケットのオンライン販売や整理券の発行といった、感染拡大予防につながるシステムを先にリリースするなど、社会の情勢に臨機応変に対応し顧客体験を向上させました。
実店舗とECサイトがシームレスにつながったオムニチャネルの構築が課題でした。
「実際に店舗を訪れる+店舗でECサイトを利用する」という顧客体験を実現するには、それまでスタッフや据え置きのタブレットでつながっていたものを、顧客が思い立った時にECサイトとつながれる仕組みにする必要がありました。
既存のコンテンツとECサイトを一つにまとめたスマホアプリを開発しました。
実店舗で手に取った商品のバーコードをスマホで読み込むと、既存のコンテンツにつながり、店舗のPOPより多くの情報を得られます。そのままECサイトに行き、購入できる導線を作り上げました。
実店舗とECサイトのシームレスな顧客体験だけでなく、日常生活でも新たな顧客体験を提供。
バーコードを読み込めば、簡単に商品のECサイトに飛べるため、生活の中で不足したものはECサイト内を探さずに発注でき、店舗から帰った後も続く体験を実現しました。
顧客体験向上を目指しアプリを開発する場合、実現したい内容を整理し2つのうちどちらに該当するか検討しましょう。
1.自由度の高いフルスクラッチ(期間:長い 費用:高い)
モンスターラボ社の事例のように、1つのアプリ内に複数の新たなコンテンツを設けるなど枠にとらわれないアプリを開発したい。
2.パッケージの活用でカスタマイズ(期間:短い 費用:安い)
ヤプリ社の事例のように、自社で保有しているコンテンツ同士を結んだり、コンテンツが顧客に触れる機会を増やしたり、既存のコンテンツを活かしたい。
それぞれ開発期間や費用が大きく変わってくるため、実現したい顧客体験がどちらに適しているか検討したうえで依頼先を決めると案件がスムーズに進むでしょう。