アプリケーション開発においては、すべての受け入れテストが完了したらアプリケーションの実装・リリースのフェーズへと移っていきます。大まかな流れとしてはアプリケーションを配信するストアへの申告・登録を行い、告知や宣伝→配信開始となっています。ストアへの申告に関しては開発したアプリをどのストアで配信するかどうかによって手続きが変わりますので、デバイスやプラットフォームに応じたリリース手順を確認しておくようにしましょう。
開発したアプリをリリースする方法の一つめは、Webサーバーを立てて運用する形です。AWSのCloud9、MicrosoftのVisual Studio Code 、IBMのEclipseなどのIDE(統合開発環境にアクセスし設定を行います。ドメインについては専門の会社で取得をします。この場合、レンタルサーバー会社経由で取得をするよりもコストは安く抑えることが可能ですが、ドメインに関するさまざまな設定を自分で行う必要があります。
開発したアプリをリリースする方法の二つめは、レンタルサーバーを借りて公開をすることです。日本においては「さくらインターネット」や「ロリポップ」「ヘテムル」などのレンタルサーバーが有名です。ドメインとはいわゆるインターネット上の住所にあたり、「.net」や「.com」「.info」などを、サーバーのレンタルを行う際に選択することとなります。IDを「application」とすると、URLは「http://application.net」のようになります。ファイル転送ソフトを仕様してサイトを公開する形となります。
iPhoneでアプリケーションをリリースする場合、各App Storeでアプリを配信するためにApple Developer Programに加入する必要があります。手順としては公式ホームページなどから登録を行いますが、AppleIDを取得している必要がある点と、組織で登録を行う場合はD-U-N-S®番号も有している必要があります。また、組織として登録をする場合、Appleと契約を締結できる法人としての地位が必要になりますので、架空の事業名や商号・屋号・支店名での登録はできません。また、組織のWebサイトは一般に公開しているWebサイトであり、かつドメイン名も組織に関連付けられている必要があります。
Apple Developer Programに登録した状態かつアプリの作成が完了した後については、「App Store Conect」にて作成したアプリの登録申請を行います。これは数日から1週間程度で審査が行われますが、審査を通過することによってApp Storeで作成したアプリがダウンロードできるようになります。ガイドラインなども踏まえた審査にかかる注意点としては、「安全性」「パフォーマンス」「ビジネス」「デザイン」「法的事項」があります。なるべくスムーズに審査を終えてリリースを開始するためには、App Store Reviewのガイドラインに沿った最終確認を行うことが重要です。
Android向けのアプリを配信するためにはGoogle Play Consoleに登録をする必要があります。手順としてはまずはじめにGoogle Play デベロッパーアカウントを作成し、デベロッパー販売・配布契約への同意を行います。デベロッパーアカウントを作成するに際してはGoogleアカウントが必要ですが、デベロッパーアカウントを所有していることでアプリの公開・管理ができるようになります。デベロッパー販売・配布契約への同意を行ったあとは、$25の登録料を支払い、アカウントの詳細を入力するとGoogle Play Consoleが使用可能になります。個人と法人でそれぞれ登録すべき情報は異なりますので、事前に確認を行うようにしましょう。
Google Play Consoleを使用できるようになると開発したいアプリの配信手続きとして登録を行いましょう。登録するとiPhoneアプリと同様に審査が行われ、一般的には数時間から数日程度で審査結果が返されるといわれており、Appleのアプリ審査と比較するとそれほど厳しくない傾向にあるようです。また、アプリの登録に際しては、リリースに必要となる「APKファイル」を作成する必要があります。他の登録情報と併せて準備をしておくことで、よりスムーズに登録が進められるでしょう。
既に公式ホームページやブログなどの自社メディアを持っている場合、それらでリリースの告知をするのがよいでしょう。そのメディアがオフィシャルなものであるとユーザーが認識している場合、アプリケーションのリリースも公式のものであると受け入れられやすく、ダウンロードへの障壁が低くなることが想定されます。リリースの告知のほか、機能や使い方、アプリに関連したキャンペーンの告知なども行うとよいでしょう。追加の広告宣伝費用を投下する必要が無いというコスト面でのメリットも魅力的です。
CPI広告は成果報酬型の広告で、アプリのインストールが行われた段階で課金されるものです。インストール単価を事前に設定することが可能なため、より高い費用対効果が得られる広告方法です。代表的なものとしては国内最大級のアフィリエイトネットワーク「A8.net」の運営会社が展開している「adcrops」やGMOグループの「GMO SmaAD」、サイバーエージェントグループの「CA Reward」などがあり、提携メディアの数や広告ネットワークの広さ、広告配信の最適化などそれぞれでさまざま特徴がありますので、配信するアプリの相性や投資想定額などを勘案しながら選定するようにしましょう。
近年では誰もが何かしらのSNSにアカウントを持っています。Facebook、Twitter、Instagramなどさまざまなソーシャルメディアはプロモーションにうってつけであり、スマホユーザーのアクセス頻度が高いだけでなく拡散力に秀でており、ユーザー属性に基づいたターゲティングも可能です。社会人が多い、学生が多い、女性が多いなどそれぞれのソーシャルメディアで利用者層が違いますので、配信するアプリのターゲットに合わせたソーシャルメディアを選択しましょう。また、自社でSNSアカウントを運用する以外にも、大きな影響力を持つインフルエンサーにPRを依頼するという方法もあります。
他にもネット広告を利用するという手段もあります。各種Webメディアでの広告展開を依頼し、リーチしたいユーザーターゲットの属性に合わせてメディア選定ができますし、配信するアプリに関する情報を取り上げているようなメディアに広告掲載するという方法もあります。
また、会員に対してメルマガ形式でアプリ配信の告知をすることもできます。メルマガ会員とアプリは親和性が高く、リリースの告知や活用イメージ・ダウンロードキャンペーンの紹介などさまざまな情報でアプローチが可能です。日常的に配信している環境が既にあるのであれば、最下部にダウンロードリンクを添付しておくのも効果的でしょう。
せっかくいいアプリを作っても、認知されなければダウンロード、利用されることはありません。実装・リリースのフェーズにおいてはターゲットユーザーにアプリを知ってもらうという認知のプロセスも重要であることを認識しておきましょう。