DXはデジタルトランスフォーメーションといい、デジタル技術を駆使して業務の効率化などの変革に取り組むことを示します。さまざまな業界でDXが推進されていますが、警備業界も例外ではなく取り組むことであらゆる課題の解決が期待されています。
2025年の壁問題は「2025年の崖」とも言われており、現在使用されているシステムの開発者が退職したりサポートの終了などが2025年に重なると想定されている問題です。これにより2025年以降、最大で年間12兆円もの経済損失が生じる可能性があると経済産業省が警告したことを発端に世間で認識されるようになっています。
あらゆる業界で人手不足が叫ばれていますが、警備業界も例外ではありません。現場での対応だけでなくバックオフィスも含めるとさまざまな業務対応が必要であり、そこに対する人的資源が業界的にも不足しているのです。警備業界は最終的にマンパワーが必要になる部分が多くありますが、そこに至るまでのプロセスとしての警備は自動化できます。DXを進めることにより、不足している人的資源をマンパワーに頼らず補うことが期待されています。
人的資源の量が充足されていたとしても、日本全体として進んでいる少子高齢化の影響も小さくありません。働く従業員の高齢化により長時間労働ができなくなったり、そもそも警備という業務内容に高齢者をあてるというリスクが問題になることもあるでしょう。
警備業界の中でも人的資源を中心に事業運営をしている場合、その教育コストも課題となるケースが散見されます。教育期間については人件費が二重に発生してしまい、その指導状況によってどこまでコスト負担が発生するかの見通しが変わってしまいます。さらにせっかく教育できたと思ったスタッフが退職してしまうとまた最初からとなってしまうため、指導・教育に関連するDX化も求められています。
あらゆる業種において感染症対策が求められる場面が増えており、各業界でガイドラインが定められているケースがあります。「製造事業場における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」においては感染予防や健康確保などにデジタル技術の活用が求められる項目が記載されています。ただし、このガイドライン自体は2023年5月8日付で廃止される予定となっています。
出典:製造事業場における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン│日本経済団体連合会
警備業界における課題は喫緊のものばかりであり、時間的猶予があまりありません。DXにより課題解決に着手するなら早期の対応が見込める、専門的なDXコンサルティング会社に相談することをおすすめします。
警備会社における主要な業務内容は現場での警備業務ですから、それに付随する管理業務などは可能な限り効率化すべきでしょう。特にバックオフィス業務は多くの企業でDX化が進められており、比較的導入のハードルも低いです。経理システムや勤怠システムなど、本業である警備業務を管理・サポートするような業務については早々にシステム化へ着手し、限られた時間を必要な業務にフルコミットできる環境を整備・構築するようにしましょう。
ここまでに触れたように、警備会社では人材不足や従業員の高齢化など「ヒト」に関する課題が多くあります。これを解決するためには「どう人材を集めるか」という対症療法的な考えも一つですが、現状の人員体制や人材不足が続く状況を所与としたDXへの取り組みも必要になってくるでしょう。人材が不足するのであればその部分にロボットなどの機械を充てることで、そもそも人が不要になる仕組みづくりを行うことで、慢性的な人手不足が課題でなくなる可能性があります。他にも品質の安定化や危険な業務を人が行わなくてよくなるなど、さまざまなメリットが期待されます。
警備業界では人材不足を中心にさまざまな課題が顕在化しており、DXの推進が求められています。そのためIT関連業界では警備業界に適したシステム開発とその拡張に注力しており、新たなビジネスモデルの創造も課題となっていました。
警備員が携帯するタブレット端末を通じて、さまざまなデータをシステムと連携させました。これにより帳票の電子化やデータ集計・分析・管理などの自動化、リアルタイムの情報共有などが実現できています。また、紙媒体処理が中心だったあらゆる業務をデータ化することで、日報や管理表、報告書などの多くの業務においてペーパーレス化の実現ができています。
業務プロセスの改革・省力化により情報処理時間の約8割を削減することに成功しています。また、ペーパーレスの実現により書類の保管問題解消とデータへのアクセス・閲覧制限を設けられるなど情報の紛失や盗難、消失といったセキュリティリスク軽減効果も得られています。
警備業界で課題意識を持つ企業の中でもより大きな課題と認識されていた2号警備(工事現場の交通警備やイベント会場などで行う警備)における人手不足について、DX化の推進や意見交換により課題解決が求められていました。
近年さまざまな業界で注目されているAI技術を活用した「AI警備」の実証実験が200以上もの現場で行われ、実用化に向けた検証が重ねられています。都心部のように人や交通量が多く複雑な判断が必要になる場面にはまだ応用できていませんが、それ以外の場所であれば地方を中心にほぼどこでも導入できる段階まで進められています。
短期的に見るとコスト面における導入負担の方が大きく見えますが、長期的に見ると人件費の削減による経済的メリットが期待されるほか、特にストレスがかかるといわれている交通警備における従業員への負担軽減が図れるという効果も見込まれます。さらにマンパワーによる警備であれば天候によって疲労負担や警備の質が変わってしまいますが、自動化することで安定化が図れます。
警備会社の業務のうち、どの現場に誰がいくかを決める配置業務や、直行直帰する警備員の勤怠管理などを電話やファックス、会社によってはホワイトボードなどのアナログな方法で行っていることがあります。これらの業務は現場や他スタッフを熟知していなければ行えない、都度電話で連絡をしなければならないなど現場の負担が大きく、長時間労働などの問題に直結していました。
勤怠や請求書発行など、さまざまな業務を一気通貫して行えるクラウド管制システムを導入することで管制業務のリモート化を実現することができます。システムを導入することで業界特有のさまざまな課題を解決することができ、簡単に更新できるテンプレートの提供・運用により負担を最小限にしつつ自走化も支援しています。
クラウド管制システムの導入後には、前日出発や到着確認を待つリードタイムの削減に加え、空きスケジュールの確認や決定事項の連絡工数削減などが実現しています。アナログな電話対応などが不要になったことで、リモートワークによる負担軽減を実現しています。