そもそもDXとは「Digital Transformation」の略したもので、デジタル技術を活用して業務効率化し、ビジネスモデルの変革を目指す意味となります。
金融業界のシステムは比較的レガシーシステムが多く、2025年ごろよりシステムの寿命を迎えてしまうと言われており、競争力・保守コストなどに経済的負担が大きくなる可能性が高まるでしょう。だからこそ金融DXを推進することは大切となっており、金融庁も金融DXの推進に注力しています。新型コロナウィルス感染症を機に、金融機関から法令上の申請。届け出がオンラインでも出来るように制度改革も進んでいるでしょう。
このままでは金融業界のシステムは2025年ごろより既存のシステムが停止する、データを移行できないなどの事態に陥りかねないと言われています。いわゆる「2025年の壁」で、セキュリティを最優先するためにオンプレミス化され、システム担当者しかアクセスできない閉鎖したシステムとなっており、金融機関の要望通りにシステム拡張されたことで複雑化している状態です。さらにテック企業の参入によって競争は激化しつつあり、金融業界は様々な課題に取り組まなければなりません。それらの課題を解消するためには金融DXを推進することが大切となります。
日本経済を支える重要な機関でありながら、伝統や継承を重んじるあまり、他業種よりもデジタル化が遅れていると言われている銀行業界。人口減少による銀行ニーズの低下が懸念される今、古いシステムから脱却し、DXによる大きな業界変革が必要とされています。
景気の低迷や社会的な混乱などが、必ずしも収益に影響を与えるわけではない保険業界。安定した市場規模に寄りかかり過ぎて、業界全体でやや危機感が希薄であることは否めません。確実に押し寄せる人口減少、高齢化社会による若年層の手取り減少、海外保険会社の新規参入などを前に、保険業界でもDXが注目されつつあります。
金融業界において1980年代に高度なシステムが導入されており、業務の効率化が図られていました。しかし金融機関の要望に合わせてシステムが拡張されていたことで、複雑化してしまいメンテナンスなどのコスト負担が莫大になっている状況です。さらに新しいシステムへの対応が難しくなっているデメリットも。金融業界は強固なセキュリティが重要となるため、複雑化している既存システムを改修・変更することは大きなリスクを背負い、慎重に検討せざるを得ないでしょう。
企業の数自体が減少傾向にあり、金融業界では融資先の減少も課題の一つになっています。地域の金融機関の場合、担当エリアだけでは案件の確保が困難な状況でしょう。エリアを拡大してしまえば、ほかの金融機関との競争も激化することも懸念されます。それによって低金利競争が激しくなるため、融資による利益を上げることが難しくなるでしょう。
これまで金融サービスを行っていないIT企業などが金融ビジネスに参入してきており、レッドオーシャン化が深刻になっています。顧客の受け皿が広がることによって、より顧客のニーズを汲み取ったサービスを提供しなければ選ばれる金融機関とはなりません。顧客のニーズは日々変化していき、柔軟にサービスを改善しつつ提供しつづける必要があります。
金融資産を保有している方の高齢化が進んでおり、その状況で同じように金融業界が利益を得るためにはメインターゲットを30代~40代にシフトしなければなりません。しかし若年層は投資先が多様化しており、インターネットで情報を自分で取得できるようになっています。そのため提供する価値を高めることが重要になってくるでしょう。
AIなどのシステムを導入することで、顧客満足度アップや業務の効率化が図れるでしょう。顧客からの問い合わせの内容をAIが学習すれば、チャットボットを用いてヘルプデスク業務を自動化することも可能です。さらに過去のデータを学習すれば、将来ビジョンにも活用できるでしょう。たとえば株価の予想などにAIを導入しているケースもあります。
金融業界においてセキュリティ面の不安から、クラウドシステムの導入はほとんど進んでいない状況でした。しかし年数とともにクラウドシステムのセキュリティ面が高まっており、徐々に導入を検討する金融機関も増えつつあります。実際に2017年に三菱UFJ銀行がクラウドへの移行を発表しました。クラウドシステムに置き換えることで、運用の管理負担の軽減、コストの削減、拡張性アップなどのメリットがあるでしょう。
金融業界においても生体認証の活用も広がっています。生体認証の技術でもDXが推進されており、顔・静脈・指紋・掌紋・声紋・色彩などの情報を活用し、本人確認を行う技術です。とくに顔認証の導入が進んでおり、本人確認書類にある顔写真と、その場にいる人物の顔を照らし合わせることで、第三者のなりすましなどを防止できるでしょう。
近年、暗号資産の需要は拡大しており、信用性も徐々に高まりつつあります。そのため今後も市場が拡大すると想定されており、暗号資産のビジネス活用の準備も進めている状況です。ただ現時点では法整備が進んでいないため、課題もあるでしょう。
過去の技術・仕組みを用いて構築されたレガシーシステムは、基本的に新しいシステムとの互換性が乏しく変化の対応が難しいというマイナスがあります。金融業界のほとんどの企業はレガシーシステムを抱えている現状もあり、さらに資産を管理する業務を担っているため信用を失墜させるわけにはいきません。万が一、新しいシステムを導入したときトラブルが発生すれば信用に影響を及ぼす可能性が高まるでしょう。その結果、新たな取り組みに対して慎重になる傾向があり、レガシーシステムから脱却するのが難しいと考えられています。
金融業界の場合、COBOLやFORTRANなど比較的古いプログラミング言語を活用しているケースが多く、この言語を用いていた人材が定年してしまうという問題があります。このソースコードは非常に難しいと言われており、若年層への引き継ぎが困難でしょう。ITの知識・ノウハウを持っているだけでなく、金融業界という特殊な業務にも理解した人材を育成する必要があります。短期間での育成は厳しく、外部からの人材獲得も難しいのが実情です。何十年先の将来に視野を広げて、長期的に人材の育成を行わなければなりません。
デジタルの技術は日々進化しており、常に新しい技術が開発されています。そのため今は最新の技術であっても、数年後には時代遅れの技術となり得るのです。顧客のITリテラシーにバラつきも生じやすくなり、ITに精通していない顧客はサービスに対応しにくくなってしまうでしょう。顧客へのワークフローも踏まえて、どうシステムを構築していくのか戦略を練ることが大切です。
金融業界において金融DXを推進するためには、様々な課題もあるでしょう。しかしDXを進めることで2025年の壁問題の解消、競争力の強化などのメリットがあります。まずはDXの目的を明確にし、企業全体でDX推進に取り組むことが大切です。ただ自社だけでDXを推進するのは難しいケースも多いため、コンサル会社への依頼も検討しましょう。
紙による申請手続きを行っており、こういったアナログ業務からの脱却を図りたいと考えていました。
窓口業務の「ゼロ線化」へのアプローチを行い、待合ロビーで行員がタブレットを持ち、手続き申請書類への入力を一緒に行うシステムを開発。従来の紙ベースの申請にも対応することで、トラブルが起こりにくいよう配慮もされています。
申請書類へ記入する手続きをタブレット入力に変更するだけで、面倒な手続きの削減につながっています。ヒューマンエラーも減少できました。また開発コストを最小限に抑えられた点も、システム導入における魅力の一つでしょう。
引用元:富士ソフト株式会社公式HP
(https://www.fsi.co.jp/blog/4555/)
年間に35,000件ほどの顧客の声に対し、内容をタイムリーに把握することが難しい状況。また顧客の意見や要望を分析する際、内容ごとに分類する作業に労力を減らしたいと思っていました。
ビッグデータによる「お客さまの声分析ソリューション」を活用。特定の意味を含む文書を抽出し、顧客の声を要約的に把握できるように改善しています。また同じ意味を含む文をグルーピングし、内訳やトレンドなどを定量的に把握できるようになりました。
人の手作業による読み込みの作業を効率化することで、新たな知見を知ることをサポートできるようになっています。その情報・知見を現場にフィードバックすることで、顧客への対応業務の改善を促進し、顧客満足度向上につながりました。また作業負担を減らすことで、本来の業務に時間を費やせるなどの効果も期待できるでしょう。
引用元:NEC公式HP
(https://jpn.nec.com/case/smbc/index.html)