DXとはデジタル・トランスフォーメーションを指し、デジタル技術を用いて企業のありかたを革新する意味です。教育DXとは教育現場においてデジタル技術を活用して、カリキュラムのあり方を革新することを表し、教職員の業務・組織の形・学校文化などを刷新することによって時代に合った教育の確立と言われています。
教職員は授業を行うだけでなく準備や、宿題の確認・準備、部活動指導、保護者の対応など業務は多岐にわたり、慢性的に業務時間が長くなっている状況です。また生徒にとっては教育格差や心のケアなどの課題もあるでしょう。そこで政府は「GIGAスクール構想」を打ち立て、教育現場のICT化を進めています。
GIGAスクール構想とは文部科学省が推進している取り組みで、小中高等学校などの教育現場にパソコン・タブレットなどのICT端末を普及させる政策のことです。ハード面を整備するだけでなく、デジタル教科書を取り入れ、生徒一人一人の苦手分野などを集中的に学習できるAIドリルを搭載するなどソフト面も充実させています。また地域指導者養成、ICT支援員などの外部からの人材による指導体制の強化も含まれた取り組みです。
本来であれば2019年度から順次ハード環境を整える予定でしたが、新型コロナウィルスの拡大を受けて端末導入のスケジュールを前倒しとなっています。その結果、2021年3月末には、ほとんどの小中学校においてICT端末の普及が完了しているでしょう。今後は校内LANの整備やクラウド活用も推進する予定です。
教職員は生徒に授業を教えるだけでなく、テストや宿題、部活動など様々な業務をこなす必要があります。また状況によっては保護者との面談などの業務もあり、慢性的に長時間の勤務が強いられている現状です。中には仕事を家に持ち帰るケースもあり、教職員の業務負担軽減は早急に解決しなければならないでしょう。
生徒によって学習を進めるペースや理解度も異なります。生徒一人一人に合わせた学習が提供できるのが理想的ですが、学校教育だけでは難しいでしょう。そのため家庭によっては塾に通わせるケースもあり、生徒の教育格差は拡大している状況です。教育格差が広がることによって生徒同士のトラブルも起こりやすくなり、不登校になる生徒も少なくありません。
新型コロナウィルスが爆発的に感染拡大したことにより、一時期は学校での学習が難しい状況でした。生徒への教育カリキュラムは決められており、従来のように通学して学ぶスタイルから新たなスタイルを早急に検討しなければなりません。自宅にいながらのリモート授業が行える体制を構築する必要性が高まったのです。
教育現場でDXを推進することで、教師の労働時間の改善が図れるでしょう。たとえば採点や集計などの業務を自動化することで、採点ミスも減り、人数分の用紙をコピー・管理する手間もなくなるのです。それに伴い本来の業務に時間を費やすことができ、業務の効率化につながります。
ITツールによっては生徒一人一人の学習状況を分析し、生徒の理解度や進捗状況に合わせた学習プログラムを提供してくれます。そのため苦手分野を集中的に学習することも可能です。全ての生徒と同じ学習をする必要がないため、効率的に学習できる環境が整うでしょう。
ITツールの情報を保護者と共有しておけば、保護者も学習の進捗状況が把握しやすくなります。ITツールで学習状況が把握できるため、わざわざ教師に質問や相談する手間もなくなり、保護者にとっても生徒について把握できるというメリットがあるでしょう。
これまでは生徒が遅刻・欠席する連絡は、基本的に電話でした。しかし電話だとタイミングが難しい、教職員にとっても負担が大きい、伝達ミスが起こりやすいなどのデメリットがあります。ITツールを活用することで勤怠連絡などがスムーズとなり、電話をかける手間も省けるでしょう。また伝達ミスもなくなるのもメリットのひとつです。
GIGAスクール構想やコロナ禍などの背景があり、国公立の小中学校や私立学校においてタブレット端末の配布やWi-Fiの整備などのハード面でのDXは推進されています。しかし学習塾などでは費用対効果が分かりにくいなどの理由でDX推進が遅れている状況のようです。また教育現場全体において教育の質を高めるようなDXは遅れているため、教育の質をアップするようなDX推進が求められています。
出典:株式会社 PR TIMES | 教育業界のDX推進取り組み状況を調査
教育現場でDX推進を行う際、デジタル端末・大容量通信に対応可能なネット環境・クラウド環境といったインフラ整備が欠かせません。しかしインフラを整備するための初期コストがかかるだけでなく、維持にもコストが発生します。もちろん国がインフラ整備を支援する制度も増えていますが、いつまで支援が続くのかは不透明な状態です。支援がないケースも踏まえて、インフラ整備の計画を立てる必要があるでしょう。
生徒・教職員の情報がデジタル上で管理されるため、情報漏洩のリスクは高まってしまいます。もしサイバー攻撃を受け、情報が漏洩してしまえば、大きな被害となるでしょう。教育現場だからこそ生徒・教職員の情報を守る必要があり、セキュリティ面を強化することが大切です。
教育DXを進めるうえで、教職員が高いITリテラシーを有する必要があります。またICTを上手く活用するスキルも求められるでしょう。しかしアナログな方法に慣れている教職員が多く、ITリテラシーが低いケースも多々あります。教育DXを推進するのであれば、IT研修やICTの機器に関するマニュアルを整備し、全ての教職員がITリテラシーを向上させることが重要です。
教育現場が抱える様々な課題を解消するためにも、教育DX推進が重要です。教育DXを推進するためには、どのような課題があり、導入の目的をハッキリと明確にする必要があります。まずは教育DXをスムーズに進めたいのであれば、外部のコンサルの力を借りることも検討しましょう。
家庭教師のトライは生徒への個別指導スタイルを行う中で、生徒の習得効率を高め、習熟度や演習の段階において生徒のケアに集中したいと考えていました。
どんな生徒が、どのようなタイミングで、どんな風に学習しているのかの行動調査データに基づき、テスト前に効率的に学習できる仕組みや、学習を継続しやすい設計を構築。映像学習の視聴中にスマホをシェイクするだけで、教師に質問できるシステムも開発しています。
トライの会員に向けたWEBサービスのサイト開発から手掛け、教室・家庭での指導プログラムの導入も実施。サービスをブラッシュアップし、一般向けのサービスとして提供しています。
リリースをした後は、公式の会員登録者数は100万人以上となり、とくに定期テストの前には数十万人ほどの方が「Try IT」を活用するようになりました。また家庭教師・塾でのサポート的役割だけでなく、映像授業だけを取り扱う塾を設立するなど、ビジネスの拡大にもつながっています。
生徒それぞれの成熟度や、どこで躓いているのかを一目で判断するのは非常に難しく、把握に時間を要していました。
個別カリキュラムを自動で作成してくれる「atama+」を導入することに。苦手の根本要因を探ることができ、生徒に適したカリキュラムを自動で作成してくれるなどの機能がありました。
生徒に接する時間が大幅に増えただけでなく、学習状況の可視化もできるようになりました。保護者にLINEで学習状況とコメントを送ることで、保護者からの信頼もアップし、理解も得られるように。そのおかげで難関大学への合格者も輩出できています。
教室と在校生、保護者とのコミュニケーションを充実させたいと考えていました。
DXデータプラットフォームを使用しており基幹システムとセキュアデータの連携によって、教室と生徒・保護者とのコミュニケーションを専用アプリに集約しています。プッシュ通知によって迅速かつ利便性、効率性を重視したコミュニケーション機能を提供。
教室業務の変革が図られ、生徒・保護者の利便性向上や満足度向上につながっています。
電話やメール、手紙などで保護者とコミュニケーションを図っていたが、実際に診ているのか分からずに不安があった。またノートでの指導報告書をチェックできていないことがあった。
保護者とコミュニケーションが確実に取ることができ、指導報告書のデジタル化によって内容のチェックがしやすくなっています。
保護者とのコミュニケーションが増え、メッセージも未読・既読が把握できるためフォローしやすくなりました。その結果、満足度もアップし、退会防止にもつながっています。また未納者への対応ミスも減少でき、業務の効率化が図れた。