「DX」とは、簡単にいうとデジタル(IT)を使うことによって人々の生活をより良いものに変えていくことであり、さまざまな業界が抱えている課題を解決するためのひとつの方法として大きな注目を集めています。
行政・自治体においても人手が足りないなどさまざまな課題に直面している状況となっていることから、こちらのページでは行政DX・自治体DXについて解説。現在抱えている課題と解決策について紹介していきます。
総務省により各所に通達された「自治体DXの推進」においては、「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会~誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化~」が目指すべきデジタル社会のビジョンとして示されています。
このビジョンを実現するために必要なこととして、自治体には「行政サービスにおいてデジタル技術・データの活用を行い住民の利便性を向上させる」「デジタル技術・AIなどを活用して業務効率化を図り、更なる行政サービスの向上につなげる」という2点が求められています。具体的な取り組みとしては「自治体の情報システムの標準化・共通化」「マイナンバーカードのオンライン化」「AIやRPAの利用促進」などが挙げられています。
また自治体DX推進計画の中では自治体のDXに加え、地域社会のデジタル化についても注目されています。そのため、それぞれの自治体ではどのようにデジタル技術を活用し、どう住民にサービスを提供していくのか、という点を検討することが必要となっています。
全国的に少子高齢化が進んでいることも、行政や自治体の大きな課題です。このまま少子高齢化が加速すると、人材の確保が困難になることから地方行政の人材不足につながり、いずれ公共サービスの提供が難しくなることが懸念されます。
近年、「2025年の崖」という言葉を耳にしたという方もいるかもしれません。これは、現状のようにDXが進まない状況が続いた場合、経済的な損失が年間で12兆円にのぼるといった試算が発表されています。このように、DXが進まないことによる経済損失の回避をどう行うか、という点が課題となっています。
新型コロナウイルスの感染が拡大したことによって、従来行ってきた対面による行政サービスでは感染を広げてしまうリスクが高く、衛生面と業務の効率を両立させるためには現在のシステムを刷新するといったことが必要である、ということが証明された形となりました。
このことから、無人サービスを充実させる、リモートでの業務を行うといった方法などによって感染リスクを回避する、といった点も課題のひとつとして挙げられています。
経済産業省と総務省による調査によると、8割の自治体がDXへ未着手の状況であり、民間企業との間で大きな差があることがわかりました。
このように、行政や自治体でDXが進まないのは下記のような理由が考えられます。
まず、それぞれの自治体においてDX人材が不足しているといった点が課題として挙げられます。全国的にDX人材が不足している状況であることから、それぞれの自治体では人材確保のための何らかの対策が必要です。
前述の通り、行政や地方自治体は人手不足の状況となっており、通常の業務のみで精一杯であることからDXまで手が回っていないといった点も原因のひとつとして考えられます。どうしても行政や自治体は住民へ向けたサービスを優先させる必要があるため、DXへの取り組みは後回しにされてしまう傾向があるようです。
DXを推進していくには、現在の仕組みを大きく変化させることになります。その時に必要となる予算ですが、十分な財源を確保できないといった課題があり、DXが進まないといった状況もあると考えられます。
職員の意識やリテラシーがDX化の障害となっているといったケースもあります。行政や自治体では、従来のやり方を踏襲する傾向が強いといった特徴もあり、こういった面もDXが進まない要因となっていると考えられています。
こちらのページでは、行政DXに関する情報をご紹介してきました。さまざまな課題がある中で行政DXを進めていくには、外部のコンサルの力を利用するのもひとつの方法です。
こちらのサイトでは、おすすめのDXコンサルティング会社を紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
先進的なデジタル化に取り組んでいるデンマークでは、公的機関との書面によるコミュニケーションはほぼ100%デジタルで行われているという状況です。そのため、デジタルメールの使用が国民・企業に義務付けられています。 しかし、ユーザーからはこのデジタルメールを移動中に読みたいという希望が挙がっていました。
移動中にもデジタルメールを読めるツールとして、e-Boksと呼ばれるツールが誕生。さらに、欧州拠点を担っているNodes社(現モンスター・ラボ)では、e-BoksのiOS・Androidアプリについてリサーチや企画、設計・デザイン・開発運用までを担当しています。
e-Boksアプリを使用することにより、1つのデジタルメールボックスで公的機関・民間企業双方からのメールの受信が可能に。さらに、個人情報は直接自身のデジタルスペースに送信されるため、データ侵害のリスクをできるだけ抑えることにもつながっています。ユーザーが好きな時にメールを取得できるこちらのサービスは非常に高い評価を得ています。
現在、自治体ではDX人材の不足や地域ごとの財源の違いなどによりDX化にあたっての課題がある状態です。しかし、その中でも石川県金沢市ではDX化が進んでいる自治体と評価されています。
金沢市では、例えば庁舎のフリーアドレス制の導入や押印手続きの廃止、事務管理システムなどの導入によるペーパーレス化などさまざまな取り組みを行っています。そのほか、新型コロナワクチンの接種予約をLINEで行ったり、金沢市電子申請サービスの導入、金沢市まちづくり支援情報システムによる情報提供などにも取り組んでいます。
DX化を進めることにより、市全体のDX化に向けた役場内の体制整備と職員の働き方改革への取り組みを行うことが可能に。さらに市民に提供する行政サービスのデジタル化などによって、業務の効率化や提供サービスの質向上につなげられています。
富山県庁では問い合わせ業務の効率化と、県が運営するWebサイトの利便性向上を実現するといった課題を持っていました。
課題解決のために富山県ではAIコンシェルジュを導入。富山県の公式ホームページでは、自動車税や移住などに関する相談への対応、またWebサイト「くらしたい国、富山」では、富山県への移住を検討している人からの問い合わせに対応できるようにしました。
AIコンシェルジュの導入により、24時間いつでも県民や移住を検討している人からの問い合わせに対応が可能となります。問い合わせへの迅速な対応による利便性の向上と、富山県庁職員の業務効率化といった効果を目指しています。
高松市では、観光分野の課題として「新たな観光資源の発掘」「外国人受け入れ環境の充実」という課題がありました。
課題を解決するため、高松市では外国人を含む観光客によるレンタサイクルの利用動向を把握できるシステムの構築を行っています。
同市は平地が多いことから多数の観光客がレンタサイクルで観光地を巡っており、その動きを把握することによって新たな観光資源の発掘や、多言語案内やサイン設置、多言語研修実施など観光客向けのサービス向上につなげられる環境の整備を行えています。
また、高松市では観光分野の他にも防災分野の課題を解決する目的でもIoT技術の導入を行っています。